歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

R3年度(2021)高柳研究奨励賞受賞

青山 真大(あおやま まさひろ)

【 静岡大学学術院工学領域助教 】

高調波磁束を利用した受動可変界磁モータに関する研究

【これまでの研究概要】
応募者は新原理に基づくモータに関する研究に大学院生時代から前職および現在に至るまで取り組んできた。現職からはモータ分野を基軸に電磁気応用として導電性金属揚程用電磁ポンプ、電磁ショックアブソーバーや、電磁調理器やアルミ溶解用誘導加熱などの研究に取り組んでいる。

本研究題目は申請者が2011年から取り組んできた従来モータの鉄損として消費されてきた高調波磁束をモータ性能向上に利用する技術を発展応用して2017年から開始したテーマである。高調波磁束をモータの界磁磁束の可変に利用するものであり、他に類を見ない独創的な研究である。電磁界シミュレーションによる磁気回路トポロジーの構築から試作機による実機検証による原理検証とその駆動特性を明らかにしてきた。その結果、可変速特性の向上に加えて特に高回転域での高効率エリアが約50%拡大することを明らかにした。前述はモータ構造に起因して不可避に生じる空間高調波を可変磁束源に利用していたが、近年は更なる性能向上を企図してモータ制御上不可避に発生するキャリア高調波のトルク利用にも着目し、LC直列共振回路の共振周波数をキャリア周波数と一致させたロータ巻線回路構成でそれを実現することを考察した。電磁界シミュレーションによる磁気回路トポロジーの構築と試作機による実証試験により、提案する原理でキャリア高調波をモータトルク向上に利用できることを実機検証にて明らかにした。

【今後の研究の展開】
本研究は電動車用途を想定しているため、電動車主機用サイズ(数+kW)で試作機を制作し、実機駆動試験にて現在市場投入されている電動車主機用モータに対する優位性を明らかにする予定である。

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