歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

H29年度(2017)高柳研究奨励賞受賞

安富 啓太(やすとみ けいた)

【 静岡大学電子工学研究所助教 】

高距離分解能を有する光飛行時間型距離撮像デバイスに関する研究

本研究は、光飛行時問計測 (Time of Flight :TOF) による距離撮像素子で初めてのサブミリメーター以下の分解能を実現したものである。

TOF距離画像センサは、計測の簡便さや計算コストの低さをメリットとして、車載や家庭ゲーム機などに広まりつつある.本申請者らはTOF距離画像センサの新たな応用に向けて高分解能 (高精度) なμmオーダの距離分解能のセンサ開発に取り組んでいる.

応用の一つは.非接触型の3Dスキャナであり、自動車部品の形状検査など用途は多岐に渡る.提案するTOF型3Dスキャナでは、長いベースラインを要する三角測量に基づいた従来の非接触3Dスキャナに比べて高速・小型な非接触3Dスキャナの実現が期待できる。

非接触型3Dスキャナでは、最低でも1mm以下の精度が必要であり、従来のTOFセンサでは、原理的に難しかった.そこで、本研究責任者らは、新たなインパルス型TOF方式と、これをイメージングに適用するために考案したスキュー補正手法「論文リスト121」によって、従来よりも大幅に距離分解能を向上させた距離画像センサを開発した。実際に、132x120画素で計測範囲30mm、分解能0.25mmを実現し、1mmの段差形状の取得に成功している.この成果は、採択率の厳しいISSCC 2014 に採択され、高い評価を受けたものである。

【今後の研究計画】

現在はより高分解能なラインセンサ型に関して研究を進めているが、1/fノイズ起因のジッタが性能を律速する要因となっている、これを解決するためのシステム構築、および高精度な3Dデータの取得のための環境構築(温度管理など)を進めて、TOF型の3Dスキャナの実現をめざす。

『歴代高柳研究奨励賞』贈呈一覧はこちら